幼児低学年で必要な学習とは

小学生で学習する内容については、文科省の学習指導要領にその項目が記述されています。では幼児期に学習する内容はどこに書かれているのでしょうか。残念ながら幼児期の学習内容について記述されている公的な情報はないのです。

それゆえ、

・いろいろな幼児教育メソッドが存在(玉石混交)

・幼小接続の課題(10年以上議論されている)

という好ましくないことが起きているのです。

それでも多くの方が認めている姿があります。

就学準備という考え方なのです。

・レディネス(就学準備)という考え方

幼小接続の問題は各教育委員会での課題になっていますが、実際は国をあげての問題です。幼稚園、保育園でひらがなの学習も数の学習もしていない子がいたり、就学時にすでに読み書き計算の基礎ができている子が混在していたら、いくら少人数クラスにしたからと言って現場の混乱は解決できるレベルではないのです。

そこでこの課題の解決策のヒントになるのが小学1年生の学習指導要領です。

少々古いのですが昭和26年の算数科の指導要領に、「身につけておきたいさんすうの用語」が掲載されています。

「おおきい」、「ちいさい」、「ながい」、「みじかい」・・・など、日常に出てくる言葉が200以上掲載されています。

このようなことばは、大人になればだれでも知っている言葉です。

でも、就学前の何のトレーニングも受けていない子どもにとっては、あやふやな状態で理解されています。まだ、概念として定着していないのです。

そんな言葉を200以上理解し使えなければならない。これは相当ハードな要求です。

このさんすうのことばを幼児期にある程度理解させることが幼児教育の大切なテーマなのです。

ちなみに「小学校受験」というとなじみのない方も多いかもしれません。そのなかで指導している内容のかなりの部分が、この概念(ことば)の学習なのです。ただ指導している方々は、小学校1年生の先取り学習をしている意識はもっていません。数字と計算式がないだけで、実際は1年生の内容の先取り学習をしているのです。

この学習をしっかりした子どもたちの学力はしていない子とくらべると大きな差になります。

全国学力調査で学校分類別の成績差が発表されているのはご存知でしょうか。この成績差は、この学習の違いから出ているといえるでしょう。

言い過ぎかもしれませんが、就学前に準備(レディネス)できている子の学力は伸びるということです。

あたりまえだと言えばその通りですが、準備をして就学に備える、それが就学へ向けての学習の基本なのです。

基礎と基本の違いを知る

勉強のみならず、スポーツ、社会活動にも「基礎・基本」があります。

さて、基礎・基本ですが、「基礎」と「基本」は違うことをご存知でしょうか。

スポーツを例にして言うと

「基礎」:体力、柔軟性

「基本」:型

というとわかりやすいかもしれません。

どんな競技、種目でも必要とされる「基礎」と、競技、種目によって何度も繰り返して身につける「基本」は違ってきます。

同じ陸上競技でも、短距離と中距離、長距離では基本となる型が違ってきます。

「基礎」と「基本」にはこのように、あきらかな違いがあります。

では、さんすうの「基礎」「基本」は何でしょう。

上記「レディネス」にも触れましたが、就学時のさんすうの「基礎」は「用語の理解」なのです。

一方、「基本」にあたる「型」は計算です。

さんすう用語を充分理解して計算学習に入っていく。これが正しい学習です。

ことばの理解なしに幼児期から記号計算をすすめる学習方式がありますが、おすすめできない理由はそこにあります。

学習塾の先生方がよく言うのは、「先取り学習で2年も3年もすすんでいるはずなのに文章題になると手が止まる子が多い」ということになるのです。

計算主体の教室の特徴をまとめた人気書籍でも上記のことが紹介されています。

各学年で必要な学習とは

基本的には10年に一度改定される学習指導要領に学習内容が記述されています。

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